harenotchy’s diary

つれづれと日々の詩を書きます

麦わら帽子

波打ち際で

笑ったあの子の横顔

大きな麦わら帽子に隠れて

口もとのほころびだけが

風に溶けて消えてった

 

名前も声も思い出せない

麦わら帽子のあの子

記憶のかなたで

海のかおりとともにぼうっと浮かぶ

 

いつか会う約束

砂浜に棒切れで書いた落書き

すぐに波に打ち消されたろうに

 

麦わらの細かい網目の

すきまから

ひっしにとらえようとした

かすかな表情だけが

遠くの白い雲に映し出される